ガマフヤーの具志堅さんふたたび。2021年6月19~23日に、”土砂採掘中止&辺野古(へのこ)新基地建設埋め立て設計変更の申請を承認しないことを要求する”ためのハンストをおこなった。
ガマフヤーってなに?
ガマフヤーとは沖縄のことばで、「ガマ(=自然洞窟)を掘る人」のこと。具志堅さんは、ガマの中や周辺に置き去りにされたままの沖縄戦死者の遺骨を39年間さがし続けてきた。遺骨の多くは、小さな石と見分けがつかないことも多いという。具志堅さんは、小指の先の小さな骨のかけらさえも大事にさがし出し、ひとつひとつを拾いあげていく。
なぜ遺骨をさがし続けるの?
沖縄戦が続く中で、いつ・どこで・どのようにして亡くなったのかわからない方がたくさんいる。陸の上で亡くなったのか山で亡くなったのか海で亡くなったのかすらわからない。
残された者は、自分たちの家族を迎えに行きたくても”行き先”がわからない。76年が過ぎた今も会えなくてつながるトンネルは遠くなるばかり。
具志堅さんは、その帰らない家族たちを自らが触媒となって迎えにいく。亡き家族を待ち続ける人たちに、遺骨をかえすためだ。
ハンストの理由
沖縄戦で亡くなった人たちの遺骨が今も残る沖縄県南部エリア。2021年になって、その遺骨混じりの土砂を、沖縄県中部にあるアメリカ軍辺野古(へのこ)新基地の埋め立てに使用する計画が浮上する。国が工法変更申請を承認すれば土砂採掘工事は開始されてしまう。
この土砂採掘計画の中止をもとめたのが、2021年3月におこなわれたハンスト。2度目になる今回のハンスト(2021年6月19~23日)は、玉城デニー沖縄県知事に対して、沖縄防衛局による辺野古(へのこ)新基地建設埋め立て設計変更の申請を承認しないようにもとめてのものだ。
2021年6月19日 沖縄県庁前でのハンスト
上記の写真に映りこむ方たちは、「日本山妙法寺」の方たち。妙法寺さんの白と明るい黄色の僧衣は、ハンスト現場にさわやかな印象を残してくれていて。あるとき、「この僧衣は涼しそうですね?」と質問してみると、「(意外に)涼しくないですね」と返事が……。そ、そうですか。なにしろ沖縄の屋外ですからね。
6月19日に始まったハンスト。1日目から気温は31℃を超え湿度は80%を記録した。 沖縄ではデフォルト。とはいえ、交通量の多い屋外というきびしい条件。具志堅さんもスピーチで「暑さにびっくりしています」と話された。
午後になると、台灣高雄(ガオション)か南インドかぐらいに暑い! 「これはきびしくなりそう」と誰もが思ったのでは?
具志堅さんの活動をバックアップしているのは宗教者の方々だ。なんでも、土砂問題が持ちあがったとき具志堅さんが、「ハンストしたいなあ……」とぼそっとつぶやいたらしく、それを聞いた宗教者の方が、「ならば県庁前でやらないと」といったのだとか。以来、仏教とキリスト教の方たち、社会運動に長けた人たちが協力して進めていらっしゃる。
署名を集める
署名コーナーがビルドされたのは前回と同じながら、「ご遺族用」の署名用紙が用意されたのが違う点。具志堅さんはご遺族の方の署名を集めることが大切と考えていて、「数じゃないと思ってます(数を多く集めることだけに意味があるわけではない)」と。
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夜中に強い雨が降った現場。テントの中で宿泊されたのは具志堅さん含め4人(だったかな?)。「ぜんぜん寝られなかった」と。睡眠不足+暑さはツラい!
夕方のスピーチを終えたあとは、ローテクを駆使してテントを養生。2度目のハンストともなるとこなれたもので、この生活を20年ぐらい続けているかのような落ち着き&貫禄が。
ここで感じるのは、のんきで穏やかでゆっくり(沖縄のことばでいうとヨンナーヨンナー)てことですかね! ”ハンスト”ということばから受けるギリギリ感はないし、なんならほんとにハンストやってますのか? と聞きたいぐらい。
ハンストという抗議のかたちを採用してはいるけれど、ハンストだけを訴える手段にはしていない。余裕を感じるのは、宗教者の方が中心になっているせいもあるのかも。
明るい太陽の下で過ごした2日間。明日からは、平和祈念公園へと移動してハンストは続く。記事も後編に続きます。