沖縄で60年間遺骨収集を続けた国吉勇さんが収集した遺留品をおさめた写真集。(国吉さんは2016年に遺骨収集から引退)※撮影は沖縄出身の写真家豊里友行さん。
市井の人たちが沖縄戦に参加させられ身につけていたモノと一緒に戦死した、爆撃や襲撃で人とともに焼かれたり折れたりヒビが入ったりしたモノたち。人間の体の一部と癒着したモノ、くっついてひとつの塊になったモノ。
所有者が生きているあいだ何度も朱肉につけられたであろう朱にまみれた印鑑たち。大写しになった印鑑は人の内臓のようにナマナマしい。中身が使い切られた歯磨き粉、歯が欠けたくし、破裂したアルミ製の水筒。いずれにも「美しさ」はない。
この写真集の意義は、戦争遺品を美しく撮らなかったところにある。
ガマ(壕)の中で水に沈んだまま過ごしてきた人のアタマの骨(頭蓋骨)。
焼かれた肉はくさくて、爆破されて切り裂かれたアルミは痛くて、ニンゲンは大きな声をあげて燃えていくだけ……。
戦争なんて参加するもんじゃない。きれいな戦争なんてないし美しく語れる戦争なんてない。
戦争は、なぜこんなにも腹立たしいのだろうか?
(戦争をしかけたニンゲンたちに、サビた戦争遺品をぶちまけてやりたくなった)
【資料動画】
・国吉さん出演の動画と記事
・沖縄で遺骨収集を続ける写真家浜田さん出演の動画
・遺骨収集に参加するボランティアの人たちの動画
・ガマフヤー具志堅隆松(ぐしけんたかまつ)さんの記事