沖縄の写真家 石川文洋さんと大城弘明さんトークショー

 

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ジュンク堂那覇店で開催されたトークショー石川文洋×大城弘明 写真対談「沖縄を『撮る』ということ」を見学した。

いまだかつてジュンク堂那覇店地下1Fにこれほどたくさんの年配の方たちが集まったことがあっただろうか!? 来場者の平均年齢75~80歳ぐらい? 司会の方が「本日はみなさんこのような状況の中、”命がけで”お越しくださりありがとうございます」(みなで大笑い)の瞬間が愉快だった。

石川文洋(ぶんよう)さんは、沖縄にルーツを持つ写真家。大城弘明さんは、沖縄糸満生まれの写真家で「鎮魂の地図」を撮った方。今回おふたりとも写真集を上梓されています。(後ほど記載)


石川さんは言う。
自分は沖縄生まれだが(早くに沖縄を出ているため)沖縄戦を体験していない。ずっと引け目のようなもの、沖縄戦を体験した人たちに頭が上がらないような気持ちがあった。けれども、ベトナム戦争に取材撮影に行くようになって、やっと戦争を身近に感じることができた。

戦争っていうのは、補給がないと続けられないものなんです。ベトナム戦争では、その補給を沖縄がぜんぶやってたんです。私がベトナム戦争の取材に行った1968年には、55万人近い兵隊がいましたが、トイレットペーパーから食料、銃弾、武器、ミサイルまで、沖縄からぜんぶ送ってたんです。

アメリカが太平洋戦争で使ったバクダンが610万トン。日本に落とされたバクダンが(原爆は別として)16万トン、沖縄に落とされたのが20万トンといわれています。

ベトナム戦争時(1955年11月1日~ 1975年4月30日)にベトナムに落とされたバクダンが1,117万トン。いかにベトナムに落とされたバクダンがすさまじかったかということ。そのベトナム戦争に最大の協力をしたのが沖縄だった。沖縄がなければベトナム戦争は成り立たなかったんです。

ベトナムにいるときに沖縄とベトナムの関係を肌で感じました。沖縄はベトナムに近かった。沖縄とベトナムとの関係を(新刊の)写真集で表現したかったんです。


石川文洋:1938年沖縄に生まれ。幼い頃に日本に移住。高校卒業後写真家となり、沖縄や戦争をテーマに多数の作品集を出版。朝日新聞に勤務した時代もある。

【新刊】榕樹書林がじゅまるブックスシリーズ16「石川文洋フォトアイ ベトナム戦争と沖縄」(1,430円)

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榕樹書林発行の冊子から(左・石川さん、右・大城さん)

大城さん。
1968年に大学に入学したときは、反戦運動や闘争、ストライキなどのまっただなかでした。私が住んでいた糸満には米軍基地もなかったから、集会やデモのある生活に圧倒されました。

集会やデモに参加しながら、借り物のカメラで撮影して押し入れで現像、中古の引き伸ばし機を買ってプリントするような生活を続けていました。

デモに参加しながら写真を撮っていると「おまえ、日和(ひよ)ってるだろう」ってほかの参加者にいわれる。デモに参加することと写真を撮ることの間でずっと迷っていたのですが、あるときすごい衝突があって。そのときに気持ちがふっきれ記録しよう撮影に徹しようと考えるようになりました。


今回写真集として出した宮古島「島尻のウヤガン」は、本来は女性だけが参加する祭祀です。祭り自体公開されておりませんでしたが、1972年の1月10日にはじめて一部のみ公開がゆるされ撮影していいということになったんです。

3時間の間、神ダーリ(神がかり)になったカミンチュが、寒い中、高い声や低い声を出しながら哀調のある唄をうたいつづけるのを見て身震いをするような思いでした。

撮影はしたものの直後に3枚の写真を発表しただけで、ずっとおもてに出す機会はなく、島尻のウヤガン自体も90年代の半ばに途絶えてしまいました。今回、写真集を出せたことは撮影させてもらったことへのお返しになると考えています。感染症の状況が落ち着いたら島尻で写真展をおこない写真を寄贈する予定です。


大城弘明:1950年沖縄糸満生まれ。1973年沖縄タイムス写真部入社。仕事のかたわら数多くの写真展を開催。

【新刊】榕樹書林がじゅまるブックスシリーズ17「大城弘明フォトアイ 沖縄・宮古島尻の秘祭ウヤガン」(1,430円)

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大城さんの写真展が開催されます。49年前に撮影された秘祭・島尻のウヤガンとともに、当時撮影された島尻の様子、2000年に撮影されたパーントゥプナハの写真も展示されるそうです。

「大城 弘明写真展 宮古島 島尻のウヤガン」
2021年9月21(火)~26日(日)
時間:10:00~19:00(最終日17:00まで)
料金:入場無料
場所:那覇市民ギャラリー第3展示室(パレットくもじ6F那覇市久茂地1-1-1

 

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榕樹書林発行の冊子「がじゅまる通信」

榕樹書林発行の冊子「がじゅまる通信」。会場でジュンク堂那覇店の方が配られていたのだけれど、読みごたえある骨太なラインアップです。

 

メモ:ベトナム戦争が終わってまだ47年しか経過していないことにおどろく。沖縄戦のあとに朝鮮半島での戦争(1950年6月25日~1953年7月27日)がありベトナム戦争があったこと。忘れてたし意識にもあがらなかった。しかもベトナム戦争は20年近くも続いたんだよ?