あまはじノート

amahaji note

2022年6月 対馬丸記念館に行ってみた(再び)。

 

那覇市若狭エリアにある対馬丸記念館

2022年6月、対馬丸(つしままる)記念館を再見学しました。

2021年に見学した際に気になっていた「いかだ」の写真を撮影できたので(対馬丸記念館内は、遺影以外は撮影可能とのこと)、下記記事内に追加しています。

amahaji.hatenablog.com

もうひとつ気になっていた、水俣(みなまた)病資料館 語り部の会から対馬丸記念館におくられた木のこけしは下記に掲載します。

水俣の祈り」のこけし

写真のこけしは、対馬丸の模型のとなりにそっとおかれています。添えられた文章の中に「白木のままで、目や鼻や口を描いていないのは、未完成の意味です。受け取られたみなさまの思いの中で完成させてください」とあります。


対馬丸記念館のような戦争をテーマにした場所には気軽に行けない、がっつり見るのはしんどいイメージがあるかもしれません。けれども、もっと気軽に行ってください。

できごとの深さとか大きさとか、ぼんやりとしかわからないな、と思ってもかまわないのです。まず入館料を支払うことで、記念館の運営に協力できます。これだけでもひとつの”体験”をしたことになります。

対馬丸記念館の入り口は2階です。2階の展示を見たあと、階段を降りて1階へ向かうかたちになります。この階段を降りることは、対馬丸の船底にいくことと同じ意味を持ちます。

対馬丸記念館の建物は、対馬丸の大きさや高さをもとに設計されています。1隻(せき)の船に例えられています。1階は、集団疎開に参加した子どもたちが寝泊まりしていた船底という設定。

ただ階段を降りて移動するだけのことにも意味があり、見学者はそこでまた”体験”を積むのです。

1階の船底では、数多くの子どもたち(赤ん坊含む)、大人たちの名前を目にすることになります。こんなにたくさんの小さな子どもたちが、大人たちが亡くなったんだとわかります。数が多くてすべての人の名前と年齢を確認するのは、正直難儀です。遺影の前に並ぶ遺品は、どれも小さすぎて……。


戦争に関する話は悲しい? いやいや、悲しいだけの話にとじこめるのはやめましょうよ。死んでしまった子どもたちがかわいそう? いやいや、かわいそうなんて言葉では表現できない史実です。


ただ、あたりまえのこととして知っておきましょうよ。一部の指導者と大衆が熱中した「戦争」のさなかで死んでしまったたくさんの人がいたことを知っておきましょうよ。最低限の知識として。


とにかく、行ってください。

対馬丸記念館
〒900-0031 沖縄県那覇市若狭1-25-37
電話  098-941-3515
開館時間:午前9:00~午後5:00(入館は午後4:30まで)
休館日:毎週木曜日・年末年始
(※年末年始は12月31日〜1月3日)

【入館料】
大人 500円
中・高校生 300円
小学生 100円
※団体料金、障がい者割引あり

対馬丸記念館は、ゆいレール「県庁前」駅から歩いて10分強。波の上ビーチの入り口手前左側にあります。2階を目指せ!! 入り口が2階だからね!!

 

 

以下、筆者の余談です。

正直、最初の見学時(2021年)は、「戦争の記念館ってなんのためにあるの?」と思っていたし、対馬丸という名前は知っていても沖縄に関係があることすら知らないまぬけな状態。波の上ビーチだって数え切れないくらい行っているのに、そのすぐ近くあるこの場所は前を通り過ぎるだけの場所でした。

 

それでも、「一度は見ておこうかな」という軽い気持ち行ってみた。そこで、記念館がつくられる意味をわずかばかりに理解することになるのです。


必要なんですよ。
死んでしまった人と生きている人のために。

必要なんですよ。
ないと忘れてしまいますし、
なかったことにしてしまいます。

必要なんですよ。
忘れたいようなことだし、
避けたいようなことなんで。

戦争の話は苦しくなるので知らないでいたほうが……、気分が悪くなるんで……。
それでも、必要なんですよ。

展示を見て腹が立つ(この場合、理不尽さに)人もいれば、疑問符だらけになる人もいるでしょう。脱力する人もいるかもしれません。大日本帝国のバカーッ!! と叫びたくなったりもするでしょう。

もう78年以上も前のことだよね、今知ったとしてもなにもできないよ。なんか暗い話よね。「母さん、助けて」? 自分だって助けてほしいわ。と思う人だっているかもしれません。

どんな感想も自由です。

対馬丸記念館の展示は、史実を基本に淡々と構成されています。史実だけを過不足なく伝えている。記念館自体はコンパクトですが、限られたスペースを最大限有効に生かした見ごたえのある完成形の展示なのです。

見学者には、なにも要求されません(気持ちとか思いとか)。これは、対馬丸記念館のすぐれた部分かと思います。受け付けでいただけるパンフレットも秀逸。筆者は、対馬丸記念館推しです。今回見学して自覚しました。

 

行ってください。