あまはじノート

amahaji note

書籍「……こどもが聞きました。日本は中国になにをしたの」(明石書店)

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書籍「…こどもが聞きました。日本は中国になにをしたの」明石書店)は、日本占領下(1931~1945年)の中国における日本軍の所業を、写真とイラスト、文章でまとめたもの。

薄手の小冊子のような作り。この一冊を見れば、日本軍が当時どのような加害を行ったのかがわかる。

※タイトルに「子どもが聞きました」とありますが、漢字にふりがながなく文字も小さめ。内容から考えても大人向けの本かと思います。


正直あまり紹介したくない本。日本軍の加害を隠しておきたいから? いやいやそんなわけない。日本軍が人を殺してばかりだからだよ。


たとえば……。


平頂山(へいちょうざん)事件

p.8より/1970年に掘り起こした遺骨を「平頂山村殉難同胞遺骨館」として公開している


この事件は1932年9月に起こる。中国東北部にある撫順(ぶじゅん)市の撫順炭鉱で、中国人労働者を酷使しながら石炭を搾取していた日本軍。

ある日、抗日義勇軍(日本軍に抵抗するために集まった臨時の軍隊)が炭鉱の事務所を襲撃。そのはらいせとして、炭鉱労働者とその家族3,000人をだまして崖下に集めて銃殺する。

ガケ下には大勢の人が集められていました。みんな不安気に肩を寄せ合っていました。

 

そのうち日本兵が「匪賊がせめてきているからお前たちを守るんだ」と大声で演説しました。

 

そのあとすぐ鉄砲の音が2発なると機関銃の音が響いたんです。すぐに妹に弾が当たり血が噴きだしました。祖父にもあたり倒れました。泣き声や叫び声、機関銃の音が一緒になってそれはものすごい状態でした。

 

「日本は中国になにをしたの」p.8体験者の証言より

※匪賊(ひぞく)=「徒党を組んで略奪・殺人などを行う盗賊」(Weblio辞書より)


お前たちを守るとうそぶき3,000人を銃殺した日本軍。銃殺後に息をしていた人は銃剣で刺し殺し、後日ガソリンをまいて遺体を焼いて埋めたという。よくやるなって感じだ。

 

日本軍の加害はこれだけじゃない。

柳条湖(りゅうじょうこ)事件、盧溝橋(ろこうきょう)事件、上海侵攻、南京(なんきん)大虐殺、、重慶無差別爆撃

【何をしたのか?】

各地で、食料や家畜を奪って、人を殺して(無差別虐殺)、ときには放火しそのまま放置。

 

陸軍軍医学校、100部隊、731部隊、1644部隊、1855部隊、8604部隊、9420部隊で生体実験

【何をしたのか?】
培養させたペスト、コレラ、梅毒、天然痘の菌などを現地の人に感染させ、生きたまま解剖。

ペスト菌を空から撒く。

生きた親子をガラス室の中に入れ毒ガスを注入。絶命までの時間を計測。

他にも細菌部隊が行った生体実験は無数にある。

実験に使用する生体を”マルタ”と呼んでいたのは有名な話。

ほかに、炭鉱での強制労働、日本への強制連行と強制労働、皇民化教育、毒ガスの使用(食料に混ぜたこともある)、アヘンの使用(中毒にさせ戦闘力を奪う)。

果てしなく加害を続ける日本軍。
まだ、あるよ。

強姦
憲兵や将校がまっさきに女性を強姦。”彼ら”は、「(強姦したときは)証拠を残さないように殺してしまえ」と部下に指示していたという。


【メモ】
この書籍は、1994年発行。1996年に第3刷が発行されているので、このころはまだ日本軍の侵略に興味を持つ人がある程度いたのかなと想像。

筆者の感慨。”日本(軍)”の精神性は、見えるかたちが違うだけで、現在も変わっていないと思う。

【余談】

韓国映画「探偵ホン・ギルドン 消えた村(チョ・ソンヒ監督、イ・ジェフン主演)」に、村長の演説があるとうそをついて村人たちを崖下の広場に集め銃殺するという場面があった。まるで平頂山事件。

違うのは、映画の中では村人たちは殺されず、殺そうとした者たちの方が村人を装ったスナイパーたちにズダダダダと撃たれるということ。脚本家の意図はわからないけれど、村人を殺そうとした者たちへの反撃の場面は、戦争の加害者たちへの反撃にもみえた。