これは、2014年のひまわり学生運動についての回想記事です。2024年5月におこなわれた青鳥行動の記事ではありません。
台湾では抗議行動やデモがどのように報道されているのか? 筆者の記憶に残るTVニュースを紹介したい。いずれも過去のものです。(2014年~)
その1:反核デモ
上の写真は、2014年3月8日のニュースで流れた反核デモのようす。(ブラウン管TVを写したので、画像が粗い)
台北の部屋でこの画面を見たとき、「おおっ、反核デモやってるんだ。それをTVのニュースで、ふつうに放送してる!?」とおどろいて、写真を撮ったように思う。
台湾では、抗議行動やデモがちゃんとTVニュースとして流れる。
ふだんから、こうした映像を見ていると、デモが抗議のひとつの方法だと自然に記憶にのこる。また、自分自身も「抗議していいんだ」「抗議する権利があるんだ」と意識することができるんじゃないかと思った。
この”ふだんから”は大切だ。ふだんの中にないと、自分から遠いできごとになるし、ぼやけてしまう。デモや抗議が日常を逸脱した特別なことになってしまう。
ちなみに、このニュースを見たのは、ひまわり学生運動の10日前。
その2:外国人労働者たちのデモ
台湾には、インドネシアやベトナム、フィリピン、タイなどからやってきた外国人労働者が多い。自分たちでアパートを借りて工事現場や製造業で働いたり、住み込みで家事や介護に従事したりすることが多い。
彼、彼女らは、仕事が休みになる日曜日に台北駅1階のロビーに集まり仲間と過ごす。地べたに座りこんで、何時間も過ごすのだ。
注:写真は、特に人が少なかったタイミングです。
↑ このロビーが、こうなる ↓
あるとき、この集まりが禁止されそうになった。まあ、誰かが”排除したい”と考えたわけだ。
そのとき、外国人労働者たちは、ロビーに寝ころがり顔にパックをしながら抗議をしたのだ。座り込みのデモである。
(注:デモは、デモンストレーションの略。道を歩きながら抗議することだけがデモではない)
駅のロビーといえば、誰でもが使える自由の場。そこを規制するぅ?
「余計なことすんなや! 自由に使わせろや!」てなったのだろう。
もちろん、TVニュースでこの抗議はとりあげられた。
どちらかといえば弱い立場(雇われている&外国人)におかれかねない彼ら(they)が抗議したこと。また、その抗議行動がTVニュースになり、その主張が受けいれられたことにおどろいた。
外国人である彼ら(they)が抗議できるベースが台湾にはあるのかもしれない。
もうひとつ。
その3:外国人労働者の抗議
台湾の家庭に住み込みで働く外国人労働者が、雇い主の所業を訴えた。罵倒したり叩いたりの横暴を撮影し、TV局に持ちこんだのだ。
その映像がTVニュースに流れた。
外国人労働者は、どうすれば世間に公表できるのだろう? と考えたはずだ。自分のため、そして、台湾で自分と同じように働く仲間のためでもあったかもしれない。
台湾では、ひとりの抗議、ひとりの行動が無視されない。
隠されないし、なかったことにはされない。
まだある。
その4:大学生が靴を投げて抗議
ある政治家に、靴を投げて抗議した大学生がいた。そのようすが、TVのニュースで放送された。
「こんなこともニュースになるんだ! 学生さん、やるなあ」と。
ひとりの学生が政治家に抗議しにいったこと、抗議がTVのニュースとりあげられたことに、感心してしまった。
※政治家への抗議として、靴を投げる。この抗議のやりかたは、過去にもあったようです。
多数の抗議も、ひとりの抗議も、無視されることはない。
これは、その地で生きていくうえでの安心感につながると思う。
抗議やデモは、台湾の人たちが守ってきた民主的”権利”の表明だ。
その権利には、強さと誇りがともなっている。
⦅ひとこと⦆
台湾のTVは、民法とケーブルTVをあわせると100チャンネル以上。ニュースだけを放送し続ける放送局も数局存在する。
ニュースの時間枠が多いから小さなニュースをとりあげやすい、と判断することもできる。それもまちがいではない。
ただ言えるのは、台湾では、抗議していいと思える社会が醸成されていて、その発出した抗議をストレートにとりあげる報道側の身がまえがあるということ。
大げさかもしれないけれど、”自由がうばわれた過去の歴史をくりかえさない”という姿勢があるように思うのだ。
⦅補足情報⦆台湾の反核デモの歴史については下記を。ちゃんと記録されてるのがいい。
308全台廢核大遊行
2014年3月8日,由多個反核團體所組成的全國廢核行動平台,在309廢核大遊行即將屆滿一週年,同時也是福島核災三週年前夕,再次發起「全台廢核大遊行」表達反核立場
ここで紹介したTVニュースのほかにも、台湾の民主を実感するできごとがいくつかあった。それについては、別記事で。
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