あまはじノート

amahaji note

繁延 あづさ さんの写真

今回読んだのは、『カメラ教室 子どもとの暮らし、撮ろう』 写真家の繁延(しげのぶ) あづさ さんの書籍です。(図書館で見つけました)

www.shoeisha.co.jp
※写真の具体的な撮り方についてしっかり網羅された本。筆者は、露出補正のページが勉強になりました。


まあ、タイトルだけ見ると子どもをかわいく撮るための本かなあと思いますよね?

しかし、違うんですよ。

繁延さんは、書いています。

この本で紹介するのは”かわいい撮り方”ではなく、”ありのままのこどもの姿” ”家族の風景” の撮り方です。

見返して、そのときのことが思い返せるような、たくさんの手がかりが残るような、そんな撮り方です。

『カメラ教室 子どもとの暮らし、撮ろう』 より


誰かに見せる(”映える写真”ってやつですね)写真ではなく、記録としての写真ですよってことです。

 

筆者は、「繁延さんの写真を見ていると、なにか気持ちがスカッとするなあ」と感じていて。これは、以前、下記の『山と獣と肉と皮』を著書を読んだ当時は、わからなかったことです。

www.akishobo.com


繁延さんは、上記のような狩猟をテーマにした写真も撮れば、雑誌(『天然生活』『除助産雑誌』など)でも仕事をしておられます。狩猟から生活までを撮れる(撮ろうとされている)写真家なんですね。

 

どの写真も、ただ自分に見えたものを撮っている。ドラマを作らない撮り方というか、なにかを押しつけてこない。(そんな写真が筆者の好みなんだろうといえば、それまでですが)そして、文章も書ける。 ←⦅訂正⦆繁延さんは、文筆家としても活動されています。

 

繫延さんのインスタには、生きものの内臓写真などもあるのですが、(場所を考慮してか)血を写さずきれいに撮っておられるあたりに、絶妙なバランス感覚を感じます。

いやそれよりも、繁延さん自身が内臓を美しいと思っているからこその写真なのか。

https://www.instagram.com/azusashigenobu/


ちなみに筆者は、繁延さんのインスタを見ると、気持ちが晴れ渡る心地がします。

 

『カメラ教室 子どもとの暮らし、撮ろう』 で、「これは!」と思った箇所があります。今回紹介したかったのは、ここです。

写真を見ること

 写真というものが発明され、写真がさまざまなメディアで扱われるようになって、記号化した写真もあるように思います。それは、”イメージ”と言い換えられるかもしれません。たとえば「沖縄」といえば、さとうきび畑、砂浜への小道、赤瓦屋根の家。でも実際は、その風景があるのは沖縄の一部でしかありません。
また、救済支援団体のポスターでは、黒人の子どもの写真が多く見られます。でも、実際は、隣の国にも同じ肌の色をした飢えた子どもたちがいるのです。

『カメラ教室 子どもとの暮らし、撮ろう』 より


写真が記号化されることは悪いことではないけれど、もっと意識的に見ることができれば、写真に写らないものを想像することができるのでは? とも書いておられます。

沖縄であれば、青い空と海の写真がイメージとして提供されることが多いです。しかし、その海から数分の場所には、戦闘機が飛び立つ広大な米軍基地があったりする(今なら自衛隊の駐屯地も、だ)。
筆者はいつも、青い空も海も、米軍基地もただそこにあるものとして見せればいいのに、と思います。まさに、”ありのまま”を。

この本は2011年発行なので、”実際は、隣の国にも同じ肌の色をした飢えた子どもたちがいる” という表記になっています。けれども今なら、”飢えた子どもたちは、自分のとなりにも街の中にもいる”という表現になるかもしれません。


まあ、それすらも見えなくされ、遠くにある自分に責任が及ばないことだけをイメージとして与えられ、ぼんやりさせられてるのが ”今” だと思いますがね。


話がそれましたが、繁延さんは、幅広いテーマを持つ写真家なので、気になる本があったらぜひ。『山と獣と肉と皮』は、おすすめしたいです。

calil.jp

 

www.youtube.com